90年代の洋楽放浪記 Vol.1
どうもこんにちは、こだまです。ギターを弾くときってピックを持ってても爪が削れるので、母にマニキュアを提案されました。
本題に移ります。今回は90年代の洋楽の中から好きなアルバムを3枚選んで魅力を語っていきます。
最初は「90年代のアルバムをどんどん聴き進めていって、良かったアルバムの感想を書く」というコンセプトだったんですが、その前にまず昔から知ってるアルバムについて書いてしまおう、と思ったので、今回ここに記します。
今回紹介した3枚は、たぶんいずれ個別の記事にもします。たぶん!!!
90年代の"パワーポップ"3枚

今回はパワーポップという縛りを設けます。歪んだパワフルなギター×ポップなメロディ、という組み合わせは僕のどストライクなので、この「パワーポップ」にくくられるバンド・アルバムは好きなものが多いです。日本だとアジカンとか。
Weezer / Weezer(Blue Album) (1994)

最初はこれ。言わずと知れたパワーポップの大名盤であり、後進に絶大な影響を与えたアメリカ・ロサンゼルス出身ウィーザーの1stアルバム。中2のときからずっと好きですね。僕はキャッチーなものは意外と飽きない。
前述した「歪んだパワフルなギター×ポップなメロディ」をそのまんま体現しているようなアルバムで、ヴォーカル=リヴァース・クオモのソングライティングは絶好調。全編通して風通しの良い爽やかなギターロックが聴けます。
それまでのパワーポップは、言ってもBig Starのようなアルペジオがキラキラしたフォーク寄りのものや、The Carsのようなニューウェーブ色の強いものが多かったのですが、グランジというムーブメントを通過した後のヘヴィで厚いパワーコードをエモーショナルにかき鳴らすパワーポップというのはおそらくそれまでになく、そこが当時は相当衝撃だっただろうなと思います。
収録曲の中でも「Surf Wax America」は、ART-SCHOOLが「ロリータキルズミー」で、中村一義が「ショートホープ」で、ELLEGARDENが「Marry Me」でそれぞれ下敷きにし、アジカンがタイトルをもじった「サーフ ブンガク カマクラ」を作ったりするなど、この「Surf Wax America」一曲だけでも邦楽ロック界に与えた影響は大きい。
このアルバムの人気曲というと、やっぱりシングルカットされた「Buddy Holly」、「Undone」、「Say It Ain't So」などが挙がりますが、僕は「In The Garage」を推したいです。
曲名の通り、自宅のガレージの中で一人曲を作る自分のことを歌っているのですが、その歌詞の中に「Favorite」としてロックバンドの「KISS」が登場するんです。ニルヴァーナ以降、KISSやGuns'N'Rosesなどのハードロックを嫌う風潮が出来上がっていた中でこの歌詞。中々勇気が要ることだったと思いますが、この「ロックスターに憧れる冴えないオルタナ系ミュージシャン」という構図がその後に与えた影響は多分かなり強い。リヴァースのこの姿勢によって、「実は俺もKISS好きなんだよね」と言いやすくなったと思います。
Ash / 1977 (1996)

続いて、北アイルランド出身の3ピースバンド、アッシュの1stアルバム。初めて聴いたのは去年の秋だったと思う。それまではジャケットで遠ざけてたんですが、アジカン経由で聴き始めたところ、このアルバムにハマってしまいました。
タイトルの由来はメンバーのティム・ウィーラー(Vo,Gt)とマーク・ハミルトン(Ba)の生まれた年。そう、このアルバムはこの二人が19歳のときに発売されたものなのです。ちなみにドラムのリック・マックマーレイは1975年生まれ。なんか可哀想!
音楽性は、ウィーザーと割と近いですがウィーザーよりもノイジーでUK的な湿り気があり、それでいて駆け抜けるようにキャッチー(ボーカルは頼りない感じ)。曲はよくBuzzcocksと比較されてるイメージ。
このアルバムから切られたシングルは5枚(!)で、どれも活発なエネルギーを持っていて素晴らしい内容ですが、特に触れたいのはアルバム2曲目の「Goldfinger」。
他の収録曲は、「Girl From Mars」や「Kung-Fu」、「Angel Intercepter」などのエネルギッシュなポップパンクソングが目立ちますが、この「Goldfinger」はミドルテンポで、「雨が降りしきる中、彼女を待ち続ける」と歌うセンチメンタルな曲。ひねったコード進行はアクセントが効いているし、サウンドもレイニーに仕上がっています(特にドラム)。デビュー以降、ポップパンク的な曲が多かったアッシュの評価を「こういう曲も書けるのか」と一段階上げた曲だったでしょう。
他にも、スターウォーズから宇宙船の飛行音をサンプリングした音で始まる「Lose Control」や、「永遠の夏」を懐かしむスウィートなシンフォニック・ロック「Oh Yeah」、この上なくキャッチーなパワーポップナンバー「Let It Flow」など、聴きどころは満載。
Xの同世代のフォロワーでアッシュを聴いている人を見たことがないので、若い人にもどうかこの「1977」を聴いてほしい...特にアジカン、ピロウズ、スーパーカーの「スリーアウトチェンジ」辺りが好きな方はぜひ!
Fountains of Wayne / Fountains of Wayne (1996)

最後はこちら。ニューヨーク出身のファウンテンズ・オブ・ウェインの1stアルバム。一般的には2003年のシングル「Stacy's Mom」のヒットで知られています。
歌詞カードの内ジャケに写っているメンバーこそ4人ですが、このアルバムを録音していた時はクリス・コリングウッド(Vo,Gt,Key)とアダム・シュレンジャー(Dr,Gt,Key,Vo)の二人組でした(ベースはサポートメンバーのダニー・ヴァインカウフ)。
その後、ツアーに出る際にアダムがベース担当になり、新たにリードギターとドラムのメンバーを加えて4人になった。
音楽性は極めてシンプルで、ややローファイ気味ではありますが純粋なギターロック・パワーポップ。ですがコンポーザーのクリスとアダムの作曲能力はめちゃくちゃすごくて、大袈裟な編曲などしなくても作曲の部分が良ければいいのだと認識させられます。
例えば、2曲目の「Sink To The Bottom」。間奏以外はひたすらE→G#→C#m→Aの4つを繰り返し、歌メロのパターンもほぼ2つしかありませんが、なんだか泣けてくる。チープなアナログシンセの「テッテッテッテッ」という音が効果的で、ここも泣きポイント。ちなみに、このアイデアとコード進行をART-SCHOOLが「Seagull」で丸々引用しています。
他には疾走感溢れるポップパンク「Joe Rey」「Survival Car」や、好きな女の子と付き合ってるバイク野郎を憎む情けないギーク・ロック「Leave The Biker」、ニューウェーブ的なシンセの使い方がポップな「I've Got A Flair」「Please Don't Rock Me Tonight」など、シンプルだがおセンチでキャッチーな曲に溢れた素敵なアルバムです。
おわりに
ここまで読んでくださったみなさん、ありがとうございました。書いてて非常に楽しかったですね。これからも継続していきたい企画なので、次更新したときもぜひ読んでみてください。それでは!
ASIAN KUNG-FU GENERATION "ファンクラブ"
どうもこんにちは、こだまです。いつもやってるここの小言のくだり、頻繁にブログを更新するとなると少しキツいですね。なんせ頻繁にブログを更新することを考えていなかったので...
本題に移ります。今回はASIAN KUNG-FU GENERATIONの「ファンクラブ」というアルバムについてです。アジカンは去年にすごくハマって、何回も聴いていたバンドですが、このアルバムは「好きな曲はあるけど全体通して好きとは言えないな」くらいの感じだったんですね。でも最近結構良さが分かってきたし、早くブログに文章を残さないとその前にこのアルバムに飽きる可能性が出てくるので、焦って今PCの前にいます笑。(最近、前は好きだったのに良さが分からなくなった音楽がいっぱい出てきたのは笑えませんが...)

この「ファンクラブ」というアルバムはASIAN KUNG-FU GENERATION(以下、アジカン)の3枚目のフルアルバムだ。一般的には大ヒットした前作の「ソルファ」の反動的な暗いアルバムとして知られていると思う。
「ファンクラブ」を象徴する1曲目、「暗号のワルツ」
歌詞に関しては上述の通り、結構暗い。ファーストシングル「未来の破片」では「繋いでいたいよ」と歌い、「ソルファ」一曲目の「振動覚」では「君の閉じる闇を打ち抜く」と歌っていたバンドが、このアルバムの一曲目「暗号のワルツ」の最初に
慌てなくたって何時か僕は消えてしまうけど
そうやって何度も逃げ出すから何もないんだよ
と歌う。この「お?どうした?」と思うような歌詞を一番最初に持ってくるのは勇気がいるし、単純に「暗いアルバム」と敬遠されることもあると思うが、当時の後藤正文は、ここで一度弱音を吐いておかないと前に進めないと考えたのであろう。その気概を感じさせるにふさわしい歌詞だと思う。
暗い歌詞をアジカンが歌うことに意味がある
さらに、この「暗号のワルツ」は衝撃的な歌詞で幕を閉じる。
君に伝うかな
君に伝うわけはないよな
一枚目、二枚目であれだけコミュニケーションへの渇望を歌っていたバンドが、ついに諦めた。その「諦めた」ということを歌にするところに、僕は音楽そのもののすばらしさを感じる。これは全然、アジカンに限ったことではないのだけれど。
トム・ヨークが「なぜそんなに暗い歌詞ばかり書くのか」と聞かれたときに、「歌詞を書くこと自体がポジティヴな行いだ」と返したことがあるように、アジカンという売れてて有名なバンドが絶望を歌い、それが聴衆を熱狂させるのはとても意味がある。それは、「音楽はポジティヴなことを歌うもの」と思っている人に「こんなことを歌っていいんだ」と思わせることもできる。
おっと危ない、このアルバムはそれだけに集約されるアルバムではない。当時の後藤正文の心境が心に迫ってくる、大変シリアスなアルバムだ。「だから音楽っていいよね」で終わらせるのは、こちらとしてもなんだか違う気がする。言いたかったことではあるけど。
演奏の話を。
そもそも「暗号のワルツ」は演奏のアイデアがすごい曲だ。イントロ~最初のヴァースは3拍子だが、次のヴァースでドラムだけ8ビートになり、サビで普通の8ビートになる、という構成。その後も6/8になったり4/4になったりを繰り返すのだが、この演奏力を試される難しい曲構成が内向的な歌詞と良くマッチしている。曲だけ聴いたら「なんかわかんないけどすげぇ」ってなるけど、歌詞を読みながらだと、凝りまくった演奏とその暗い歌詞でぐちゃぐちゃになりながらもサビで一気に解放される、しかし最後の一節が絶望的、というすごい感覚に陥る曲である。サビがすごく「救い」。
ここからは、好きな曲の紹介を。
2. ワールドアパート
先行シングルであり、初のシングルチャート1位も獲った曲。「シングルを出したい」というレコード会社の要望から急遽作られた曲で、後藤自身は「ファンクラブ完全版を作るならこの曲は外す」と言っているらしい。
でも、急遽作られた曲でここまで完成度の高いものが作れるほど当時のアジカンのクリエイティビティは極まっていたのだな、と感心する曲である。今では聴けない後藤のシャウトも聴けるし、重要な曲だと思う。
やはりこの曲は後藤のヴォーカルに尽きるでしょう。特にサビの絶叫。当時の曲レパートリーの中で一番高い音を出す曲だったらしく、キーを半音下げる案もあったらしいが、「いや、絶対出る。つうか出す」と気合いでレコーディングに臨んだというエピソードがある。
歌詞は、分かりやすく9.11のことが歌われる。
遠く向こうで ビルに虚しさが刺さって
六畳のアパートの現実は麻痺した
目を塞いで 僕は君を思い描いて
想像の世界で
君も全部なくして分かったよ
ビルに「虚しさ」が刺さる、というのがポイントだ。テロリスト側が虚しさが感じていたとは思えない。「僕」の気持ちと飛行機を重ねているのかは分からない。正直、あんま分からない。
でも次の歌詞は、目を塞いで「君」を思い描いて、「君」を含む全部がなくなる光景を想像したときに事の重大さが分かる、というのはシンプルだ。この曲のサビもシンプルだ。「ファンクラブ」という重いアルバムの先行シングルとしてこれ以上ないと思う。
(あと、Spotifyでこの曲のMVが見られるようになったのだが、なんかV系みたいな映像だった笑。)
3. ブラックアウト
はい出ました、アジカンで一番聴いた曲。これは揺るぎません。もともと小6の時くらいから知ってる曲だったけど、中3の時に改めて聴いてからずっと心のチャートトップ10常連。
この曲の好きなところ...いっぱいあるけど、まず言いたいのはリズム。
イントロ&歌い出しの箇所から「真魚板の鯉は~」の箇所に移るところがいつも不思議だなぁ、どういうこと??と思っていたのだが、後藤が過去にブログにこんなことを記していた。

なるほど、半分拍がずれていて、その後戻すとああなるのか!すごいアイデア。しかも偶然できたものだというからすごい。
「真魚板の鯉は~」からドラムが四つ打ちになる。ギターリフがその前と同じなのがポイントである。
その後もほぼずっと四つ打ち。非常に寂しくて切実な歌詞と、ノリやすいリズムセクションの組み合わせが最強であり、これはニュー・オーダーにも通ずるセンスだと思う。「搔き消して~」のところのベースはオクターブを行き来しているし、本当にノリやすい。この曲は自由に動くベースも魅力である。
もちろんサビも四つ打ちでドッチードッチーとビートを刻んでいるが、そのサビの歌詞がこれだ。
今 灯が此処で静かに消えるから 君が確かめて
ただ立ち尽くす僕の弱さと青さが
日々を駆け抜ける
なんて寂しいんだ!!僕がいつか消えるのは避けられない。だからせめて「君」に確かめて欲しい。こんな歌詞を当時人気絶頂のバンドが四つ打ちに乗せて歌う。壮絶。
6. ブルートレイン
先行シングル第一弾であり、従来のアジカンのパワーポップ的なイメージを打ち壊したであろう、非常にテクニカルなドラムとストレートなメロディが合わさったマス・ポップ(Math Pop)的な曲。
この曲の醍醐味は絶対的に伊地知潔のドラムだと思う。この圧倒的な手数と、それにもかかわらず一切テンポがブレないテクニックは他の邦ロックバンドと比べても随一の出来栄え。
でも、絶対に「アジカンの曲だ」と分かる出来になっているのは、やっぱりメロディなんだろう。後藤自身もブログで『メロディーは非常に自分らしい(いい意味でも悪い意味でも)』と書いているし、そこがブレたら、なんか違う気がする。
この曲は、レコーディング中に後藤が調子を崩し休みをもらった際、後藤以外のメンバー3人がアレンジを後藤抜きで進め、その後藤が復帰してサビとブリッジを作り、イントロのアレンジを行って完成したという。その為か、この曲の作曲クレジットには後藤だけではなく、喜多健介の名前も入っている。
歌詞。僕が好きなのはここ。
傷だけ塞いでも溢れる想いは
君が言う『リアル』とか
言葉では易いさ
※以下は僕の解釈です。
これまでに「傷だけ塞いでも溢れる想い」を曲にしたアジカンだが、待ち受けていたのは「リアルだね」というような易い言葉だった。そしてそれをも曲にする、強い生命力を感じる一節だ。
9. センスレス
ヴァースがコロコロと変わる、プログレッシヴな曲。それでも、やっぱり待っているのは疾走感のあるラスト。
「コンクリートの~」と「液晶の世界を~」は同じメロディ。
「画面の向こうに~」でメロディが変わり、さらにその後ブリッジ的な「見せかけのセンスレス~」。
「灰色の空を~」でまたメロディが変わり、その後の間奏では6/8になる。
「現代のスタンダード」で音を伸ばした後、4/4に戻りテンポアップし、ブリッジ的な「それでも想いを繋いでよ」を挟み、さらに少しテンポアップして「世界中を~」。
ギターの音を伸ばして曲終了。
この複雑な曲展開のせいか、音源が出る前にライブでこの曲を披露したとき、ネットの掲示板で「最初の2曲が良かったです」と書かれたことがあるそう。
全体的によく練られた「ファンクラブ」だが、この曲に関しては本当に悩みぬいた跡が見える。その苦悩が見える曲展開の後、テンポが上がって
世界中を悲しみが覆って 君に手招きしたって
僕はずっと想いをそっと ここで歌うから
君は消さないでいてよ
闇に灯を 心の奥の闇に灯を
と疾走感マシマシで歌うのだ。なんかもう、空元気に見えなくもないが、やはりアジカンの強みは力強さであり、何はともあれこの疾走パートは好きだ。疾走して終わるのもいい。この曲は全然、個別で聴くと苦悩が晴れていく様を見るようで清々しいのだが、「ファンクラブ」の流れだと深読みしたくなってしまう。なんせ絶望的な「バタフライ」の後だからな...
おわりに
ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。アジカンは去年めちゃくちゃ聴いたし、塾や学校の行き帰りもよく聴いていたので、今回記事を書けて良かったです。他の人のレビューに引っ張られないようにするのが大変でしたが、なんとか自分の思うことを書けたと思います。次書くとしたらおそらく「ワールド ワールド ワールド」ですね。それでは!!
たま "ひるね"
どうもこんにちは、こだまです。ニンテンドースイッチの充電器を弟が踏んで壊したので、新しいのを3000円くらいで買いました。イタイ出費。
本題に移ります。今回はたまの「ひるね」について、及び「たま」との出会いについてです。前にnoteでレビューを書いたことはあるんですが、今もう一度書き直したくなったので、ここに残します。

「たま」を聴くようになったのは中3の時だ。友達からLINEでたまの「そんなぼくがすき」という曲のリンクが送られてきて、それを気に入ったのがきっかけ。
その後「さんだる」というアルバムとその次に出たこの「ひるね」のCDを買った。まずは「さんだる」から聴いたのだが、一曲目の「方向音痴」にビックリした。もちろん演奏と歌にもだが、まずそれより歌詞だった。
ギロチンにかけられた 人魚の首から上だけが
人間だか人魚だか分からなくなっちゃって
知床の海に身を投げちゃった夜だよ
だから ぼくらのこぼした涙を集めて
かなしいさかなの飼育をしたいな
この、圧倒的なシュールさ。衝撃的な面白さを感じた。「人魚をギロチンにかけたら首から上だけ見えるから人間か人魚か分からなくなる」という、「だからなんなんだ」と思う歌詞。この発想力と、それをわざとらしく感じさせない演奏力・歌唱力はすごい。
出会いの話はこれくらいにして、次は「たま」の特徴について。
ベース以外はほぼ全てアコースティック楽器
サウンド面の特徴はまずこれでしょう。ベースはウッドベースではなくエレクトリックベースですが、それ以外はアコースティックギター、マンドリン、ピアノ、オルガン、鍵盤ハーモニカ、アコーディオン、リコーダーなど、全てアコースティック。この「ひるね」でも、唯一「むし」でフェイザーがアコギにかかっている以外は全てそのままの音で録音されている。
また、たまのサウンドを最も固有なものにしているのは石川浩司さんのパーカッションセットである。タム、スネア、タンバリン、チャイナシンバルなどのオーソドックスなものから、鍋や桶などの非楽器までをも組み合わせた、非常に独特なセット。ちなみにスネアを叩く曲はあまりない。
メンバー全員が曲を作り、歌うスタイル
石川さんが「たまはソロアーティストの集まり」と発言していたように、たまは「自分で作った曲を自分で歌う」バンドである。この特徴から、しばしば「日本のビートルズ」と例えられる。
メンバーが受けた影響はそれぞれ異なっていて、ギター/マンドリンの知久寿焼さんは友部正人、原マスミなどのフォーク歌手を挙げ、主にキーボードを弾く柳原幼一郎さんはビートルズやザ・バンド、ボブ・ディランやニール・ヤングなどのクラシック・ロックやザ・ポップ・グループ、ジョイ・ディヴィジョン、エルヴィス・コステロなどのニューウェーブ/ポストパンク、さらに映画『流れる』の挿入歌を挙げている。
パーカッションの石川浩司さんは、三上寛や遠藤賢司、あがた森魚などのフォーク歌手や、後述するプログレッシヴ・ロックなどを聴いていたと発言している。ベースの滝本晃司さんは...大まかな影響は分からないが、雑誌「ワッツイン」にて、ロバート・ワイアット「ロック・ボトム」、シド・バレット「バレット」、井上陽水「招待状のないショー」を挙げている。
↓「ワッツイン」の記事
たまのバックグラウンドについて、91年2月、「ひるね」リリース時の、音楽誌「ワッツイン」に、影響を受けたモノについて語っている記事があります。興味深いのでちまっと載せます…。 pic.twitter.com/Vce7SxKU9A
— かのんけいな (@kanonkeina) 2025年1月21日
好きな曲紹介
ここからは、好きな曲のレビュー。
4. 家族
パーカッション、石川さんの曲。歌い出しの「僕のおなかをかじるのやめて パパ パパ」で一気に掴まれる。
石川さんは、テンポチェンジしない曲など作れないのか??というくらいテンポチェンジをする。おそらく氏のプログレ趣味から来ているのだが(イエスやジェントル・ジャイアントをお気に入りにあげている)、プログレでもこんなにしないと思う。
この曲も例にもれず、Aメロ、サビ、Aメロ、サビ、Aメロ、間奏、ブリッジ、テンポが下がったAメロの、この8個のヴァースの中で5回テンポが変わる。好きなのは3回目のAメロが終わった後の、「ブーン」というベースからテンポアップ、その後急激にテンポを落とすところ。
「僕のクジラが~」のところは、鍵盤の幅を広く使ったピアノと、オーバーダビングされた、強弱を緩やかにつけたアコギの編曲が冴える。
僕のお耳をはずすのやめて ミケ ミケ
ぼくの目の玉 なめるのやめて ポチ ポチ
縁側でうたた寝していると
僕の家族がムカデになって
僕の背骨の上を
パピプペ行進しているよ
おなかをパパにかじられているのは、家族がムカデになったからか?と、書きながら気づいた。悪夢のような歌詞だが、僕個人の感覚だと、歌パートまではその悪夢を見ている主人公視点で、アウトロは悪夢を見ている主人公を引きで見ているイメージ。最後の「ウン~」というコーラスは寝息っぽいし。
5. お経
柳原さんによる、音頭のような、ダンサブルで日本人の血が騒ぎそうな曲。歌詞に登場する「ロザリオで首を吊った坊さん」や、「僕の犬が可愛いあの子の骨を食べている」様子を、ニヤニヤしながら見ているイメージ。
イントロのツインギターの不協和音は、どうやっているのか分からない。セッションで作っている感じはするが、どうやったらこんなものができるのか...
この曲は鍵盤は登場しない。ずっと2本のアコギが奇妙な音階を弾き、グルーヴィなベース、そして「お祭り感」を演出するパーカッションが、なんともダイナミック。
「シネラマタウンでお経を読んでます」のところの、左のアコギと迫りくるタムがすごく「祭り」。そういえばこの曲はこのアルバムで一番最初に気に入った曲だった。
7. オリオンビールの唄
また柳原さんの曲。普遍的な大名曲だと思う。
この曲は知久さんのマンドリンに尽きる。まるで2つめの歌のようにボーカルと並走して弾きまくるマンドリンが本当に素晴らしい。ソロもテクニカルで、知久さんはマジで弦楽器上手いんだな。
「DON'T WORRY MAMA BABY~」というサビは滝本さんのベースが唸る!そのかわりマンドリンはバッキングに寄る。ここの編曲も非常に巧みである。石川さんのパーカッションも、Aメロに比べてサビは音の種類を増やしてメリハリをつけている。
8. かなしいずぼん
知久さんの、怖い曲。ほぼ2つのコードで構成されていて、不気味なオルガンが活き活きしている。
イントロからして、わざとらしいくらいマイナー調だ。おもちゃなどの効果音が不穏。
くるおしい 草むらの
物置の机の上に
飾ったね ながめたね
あかいりぼんにあかいすかあとの
きみを
飾ったね ながめたね
飾ったね ながめたね
リカちゃん人形とかなら平和なんですけどね、そうはいかないんでしょう。「あかいりぼんに あかいすかあとのきみ」とは、この不穏な雰囲気につられると普通に、主人公が殺してしまった女の子かな?と思うが、、みなさんはどういう解釈なのでしょうか?
そして、この曲はパーカッションソロがある。これが圧巻で、崩すところは崩しながらも、基本はしっかりする石川さんの抜群のリズム感を感じられる。
その後の石川さんの語りパート。ライブによって内容が異なり、このCD音源では「あんた、ご来光でしょ。」ですが、「玄関の前に巨大なバナナ置いたでしょ。」「ナマコ、産んだでしょ。」などがある。たどたどしいので即興のように思えるが、ちゃんと着地点があるのでおそらく台本もある。
11. むし
滝本さんの、なんとなく森林の風景が浮かぶ美しい曲。また、アコギにエフェクトを書けた箇所がある珍しい曲でもある。
出だしから、エコーがかかった石川さんのおもちゃの音と、アコギのアルペジオがマッチしている。また、クレジットには書かれていないが、おそらく鍵盤ハーモニカも入っている。
ここを過ぎる風が苦くって夢に出てくる
もっとそっとしていて悲しいって泣き出して揺れるみたいな風景です
なんだかよくわからないが綺麗な歌詞だ。このヴァースのアコギのフレーズは和を感じるし、石川さんの虫の鳴き声みたいなおもちゃの音も相まって、本当に自然の中にいるようだ。
そして、この曲はアウトロが凄い。異次元の美しさ。知久さんの「ラララ...」は子供たちの遊び声のようだし、石川さんのなんちゃってバリトンボイスもアクセントになっている。ランダムなパーカッションも素晴らしい。正直、アウトロの長さはもっとあっていいと思う。
13. 鐘の歌
知久さんの曲。知久さんと柳原さんのハモリが絶品。知久さんの声はすごく特徴的なのに、ハモるときはすごく心地よい。
モノクロの校庭の写真を見ているような、強烈な郷愁が聴き手を襲う曲だが、歌詞は割とファンタジーである。
夜のチャイムが鳴ると空からたくさん降りてくる
すべり台の下でさびしい子供の蛍光灯
誰も知らない校庭でみんなしてひかってる
何もしない声も出さないでみんなしてひかってる
この後の「じっとしてたよ~おっほっほっほ~」の後からは壮大な展開をみせる。サーッと意識がこのアルバムのノスタルジックな世界から現代に戻るような、寂しさを伴った感動が押し寄せる。
都に春がくればいつもさびしい子供がいなくなる
都に春がくればいつもさびしい子供が行方不知だ
それはみんなさかな釣りに行っちゃったのだから
さがさないで さがさないでよ
田舎で暮らしている主人公の友達たちが、みんなさかなを釣りに都会に出て行ってしまったから、拗ねて「さがさないでよ」と言っている、みたいなこと?都に行く理由を「さかな釣り」と書いているけど、子供ながらのよくわからない想像かもしれない。実際はもっとしっかりとした理由で、友達たちは都に行ったのかもしれない。と、考察があふれ出るいい歌詞。
おわりに
ここまで読んでくださった皆さん、ありがとうございます。ずっと書き直したいと思っていたので、今回できてよかったです。このアルバム、サブスクにないのでCDで聴く必要がありますが、俺は新品をちょっと奮発して買ってよかった、と思うくらい気に入っています。もしよかった、聴いてみてください!それでは!
RADIOHEAD "KID A"
どうもこんにちは、こだまです。最近、厚着をして散歩をすると汗をかきます。着替える羽目になります。ええ。
本題に移ります。今回はRADIOHEADの「KID A」について書きます。洋楽の中だとトップクラスに自分が影響を受けたアルバムです。何回か書こうと思って挫折しているのですが、今日は書けそう。

このアルバムを聴いたのは小6のときだ。BOOK OFFで280円だったので買った。「安いし一応買っておくか」という感じで手に取ったアルバムに、ここまでその後を変えられることになるとは...
最初はまったく良さが分からず、放っておいていたのだが、小6の途中で精神に異常をきたしてインターネット恐怖症になり(ホラー画像を目にして、それがトラウマになっただけ)、サブスクで音楽を見つけることが不可能になったときにCD棚から引っ張り出したことがきっかけになり、よく聴くようになった。おそらく、精神に異常をきたしたことで、このアルバムと同じような気分になることが多かったのだろう。
最初に衝撃だったのは音ではなく、田中宗一郎によるライナーノーツだった。「KID A」に陶酔しきった彼のライナーはヒステリックで、ひたすらこのアルバムから受け取った絶望を膨らませたようなものだった(世界は虚偽だけで作られていて、みんなそれを誤魔化して生きているけど、このアルバムは淡々と『そんなの嘘だって、君も知ってるよね』と告げるのだ、的なことが最後に書いてある)。
このライナーにめちゃくちゃ影響を受けた僕は、いわゆる中二病になり、祖母の家に出かける直前にその文章を読み、「いずれ世界なんて終わるのに、俺は一体何を...」なんて考えて暗い気持ちになったりしていた。
とにかくサウンドが好き
このアルバムの好きなところなど山ほどあるが、まずはサウンドである。全編通して貫かれる、無機質な、冷たいのか温かいのかよく分からない独特の音がとにかくいい(そういう意味では、氷山の向こう側に火山があるこのジャケットデザインはこのアルバムの音世界とがっちりマッチしていると思う)。
たとえばタイトルトラック「KID A」。右から聴こえる温かい電子ピアノと、同じフレーズを繰り返す無表情な電子音、不規則なビートの組み合わせが不思議な陶酔感を聴き手に与える。大好きな曲。
あと、「How To Disappear Completely」と「In Limbo」に用いられている、不気味に歪む音像。まるで無表情な顔が恐ろしい表情の笑顔に変わっていく様子をスローモーションで見ているような、そんなシュールな音世界がなんとも魅力的。
「KID A」は感情が漏れ出している究極のロックアルバムだ
山崎洋一郎のライナーノーツによると、ボーカル=トム・ヨークは「僕は、このアルバムにはまるっきり感情的なところがないと思うんだ」と語っているらしい。確かに、「歌詞をバラバラにしてシルクハットに入れて混ぜた」という逸話もあるし、そうしようという努力は感じられるのだが、ハッキリ言って漏れ出している。そこがたまらなく好きなのだが。
同じく山崎洋一郎のライナーノーツには、トムが「ロックなんか退屈だ。僕は退屈だと思う。だってホントに、ゴミ音楽じゃないか!」とか、「そう、たしかに僕はその手の一連の音楽にすごく影響されてるよ。なんかもう全然...そのさ、毎回...ギターを持ち上げてみるたびに、またすぐに降ろしちゃうんだよ。全然、自分と関係あるものに思えなかったんだよ」と言ったというように書かれているが、僕はこの「KID A」は、究極のロックアルバムだと思う。
「KID A」はロックからメロディアスな部分やエモーショナルさ、リズムや緩急のダイナミズムをこれでもかと排除し、絶望や虚無感を過剰なまでに表現している。僕はそこに、ロックが本来持っていたセンチメンタルさを感じる。「エモーションを抑え込んだ無感情なアルバム」を作ったはずが結局は感情が漏れ出している。これこそがロックだ。作り手が「これは感情的なところがないと思う」とまで言ったのに、無意識に感情が滲み出ているなんていうロックはこのアルバムしかないんじゃないか。このアルバムは奇跡と言っていい。
好きな曲紹介
1. Everything In Its Right Place
生温かい電子音から始まるこの曲。このイントロが鳴るときは毎回「あ、あれだ」と意識が冴える。サンプリングされたボーカルはグリッチ風で、コミカルですらある。「すべてがあるべきところにある」という意味深な言葉が繰り返される歌詞は、他にも「きのうぼくは目を覚ましたときレモンをかじってた」「ぼくの頭の中には二つの色がある」など相当抽象的である。特筆すべきはやはりボーカル。ここまで豊かに「Everything」を繰り返せる人は他にいない。ブレスの一つ一つに力が入っている。
2. KID A
温かい音色の電子ピアノと、繰り返す飽和気味の電子音、不規則なビートがなんとも言えない陶酔感を与える不思議な曲。トムによると、この曲のボーカルはオンドマルトノを通したヴォコーダーによるもので、歌メロはギターのジョニーが作ったものらしい(トムはマイクに向かってしゃべってただけだとか)。
ライナーノーツによると、「KID A」とは「世界最初のクローン人間」のことらしく、それを踏まえるとこの曲の最後の奇妙な声のような音は、そのクローン人間の産声のように聴こえる。
↓「炭酸和訳」さんによる、この曲の関する海外のインタビュー記事を切り抜いて翻訳した記事です。
4. How To Disappear Completely
アコギのストロークとウォーキングベース、そして冷たいストリングスが印象的な曲。ここまで冷酷な絶望感を生み出せるのはすごいと思う。
メジャーコードで安心感を、マイナーコードで不安感を表現しているようで、緊張状態の自分を落ち着けようとするときの「波」が非常にリアルに感じられる。途中のストリングスの不協和音なんて、本当に救いようがない。
「ぼくはここにはいない」という歌詞は、R.E.M.のボーカル=マイケル・スタイプが「不安な気持ちを落ち着けるのに役立つから」と渡した言葉だそう。
↓歌詞に関しては、こちらの「深読み、Radioohead通信」さんが詳しくまとめてくれています。
6. Optimistic
今作の中で、唯一ロック然とした曲。および、僕が今作で初めに良さが分かった曲。終始不協和音のギターが不安感を煽り、タム中心のドラムは2分30秒あたりまで一切スネアを叩かない。そんな緊迫感のあるサウンドの中で、トムのボーカルは北風のごとくヒューと舞う。アウトロの20秒間だけ急にグルーヴィな演奏が始まるのもいい。
そして僕が惹かれるのは、「できるかぎりのことをすればいい」と繰り返した後、「ほんとにきみを助けたいんだよ」と情けなく言い、そしてその後また「できるかぎりのことをすればいい」と歌うところ。こんなに残酷に人を見捨てることがあるかね。「ほんとにきみを助けたいんだよ。だけど、それは僕ができることじゃない。僕はできるかぎりのことだけをする。助けなら他に頼めば。」とでも言っているかのようだ。
7. In Limbo
この曲も一応バンドサウンドだけど、ロックバンド的なダイナミズムはなく、「バンドサウンドでここまでの倦怠感を表現できるのか」と感嘆するような曲。自暴自棄になるでも、開き直るでもなく、ただただ虚無。そんな世界観のこの曲は、実はこのアルバムの中ではトップクラスに好き。アウトロの、恐ろしく歪んでいく音像は悪夢のようで、もはやスカッとする。
歌詞の方はいつにもまして難解だが、繰り返し歌われる「おまえは空想の世界で生きてるんだ」という一節が印象的。この歌詞を受けて、「だから何なんだ」と言って前進するか、「そうか、そうだよなぁ...」と言ってひたすら悲しみにふけるかは、聴き手側に託されている。
8. Idioteque
今作の中で最も情熱的なボーカルの曲。ファルセットを駆使したり、少しがなったりするトムのボーカルは彼の持ち味を存分に活かしたものであり、自信に満ち溢れている。
それに対してトラックは非常にクールで、現代音楽家=ポール・ランスキーの曲からサンプリングした4つのコードの反復と、ジョニーがモジュラーシンセで作ったダイナミックなビートが合わさった非常に強力なもの(僕の理想のキック音)。このトラックをバックにあそこまで自由に歌えるって、本当すごいよなぁ。
歌詞は、おそらく世界の終わりをテーマにしたもので、パニック状態に陥りながらも「女と子どもが先」「両方の話を聞かせろ」と寄り添う内容となっている。
こういう曲をフェスでやったときにめちゃくちゃ盛り上がるって言うのが嬉しい。決して享楽的ではない、神経質な曲なのに、それに共感した人が集まって一緒に飛び跳ねてるっていうのが、嬉しい。
まとめ
ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。本当に大好きなアルバムだし、昔からよく分析していたアルバムなので書くのにはかなり時間がかかりました。好きなところはいっぱい書いたつもりなので、共感してもらえなくても、上の文章は僕の努力の結晶であることに変わりはないのでいいんです。共感してもらえたら嬉しいけど!それでは!
最近聴いた音楽備忘録 #1
こんにちは、タテガミELECTRIC akaこだまです。僕は真夜中にハイテンションになると、自撮りをしまくる傾向にあります。
本題に移ります。今回は、最近聴いた音楽を日記みたいな感じで記録する記事です。不定期で続けられたらいいけど、#2をやる可能性は結構低いです。ごめんなさい。
10月11日 ASIAN KUNG-FU GENERATIONについて

まずはアジカン。2024年10月上旬の生活はアジカンによって彩られました。
本当に、ここまで集中的に一つのバンドを聴くことは今までほぼなくて、「他の作品も気になるぞ」と思わせてくれるアジカンには感謝しかありません。ありがとうございます。
とはいっても、よく聴いているのは「君繋ファイブエム」から「マジックディスク」あたりで、「ランドマーク」からはゴッチの発声が無理になってきたので聴いてません。これは本当にどうしようもないですね。上に貼った画像を2009年あたりの画像にしたのも、最近の画像を貼ると最近のも聴いてると思われるからです。
「マジックディスク」、「新世紀のラブソング」
今日(10/11)は「マジックディスク」を聴きました。このアルバムを初めて聴いたの昨日なんですが、いい曲が多くて大変嬉しいです。
たとえば「新世紀のラブソング」。ヒップホップ的なビートから始まり、逆再生ギターとリズム隊が静かめに曲を立ち上げる。逆再生のギターが、ここまで非サイケデリックに鳴っているというのは、意外と今までなかった発想かもしれません。
そして歌。僕が好きなところは「朝方のニュースで~」のところは主メロの奥にハモってるのかよく分からない低音のボーカルが入っているけど、「愛と正義を~」のところで一瞬ユニゾンになり、「僕らは奪い合って~」で奥のハモリが1オクターブ上になり、「何もなかったように」の「なかったように」で完全に別の音程になるとこ。ハモリがここまで動き回っても破綻してないのがすごい。
そして「変わりない日々をひたすら消費」からアジカンお得意の四つ打ち!俺アジカンの四つ打ち好きなんですよ。
「確かな言葉が見当たらない」からは、キタケンのメロディアスなリードギターと四つ打ちという、アジカンの十八番とも言えるような展開なのに、どこか今までのアジカンと違う。「アジカンらしさ」を残しつつ変化したこの「マジックディスク」のオープニングにふさわしい名曲だと思います。
他にもタイトルトラックや「ラストダンスは悲しみを乗せて」、「橙」など好きな曲はあるんですが、上の文章のような熱量で書くのはまた今度にします。普通にアルバムレビューとして投稿できそうだし。
その他のアルバムの話
CDで持ってるのは「君繋ファイブエム」、「ソルファ」、「ファンクラブ」の3枚で、ウォークマンに音源を入れて通学中とかによく聴いているのですが、この前塾から帰るときに夜の街の少し冷たい風を感じながら聴いた「ファンクラブ」の後半が良かったです。特に「バタフライ」。
あと、僕は「君繋ファイブエム」や「ソルファ」を流しながらその収録曲をギターのパワーコードガシガシコピーするのが大好きなんですが、「ファンクラブ」の曲でそれをやろうとしたとき、「あれ、単純なパワーコードのストロークが少ないな」と気づいたんです。おそらく、「君繋」と「ソルファ」の時点ではゴッチの弾き語りのデモを中心に作ってたと思うんですが、「ファンクラブ」はセッションで曲を作っていったらしいんです。だからそれが理由で単純なパワーコードが減って複雑なプレイが増えていったのかなと思いました。
ただ、単純なパワーコードでガンガンギターを弾くのが好きなので、「ファンクラブ」の曲をコピーする気は起きないです...苦笑。
「ワールド×3」と「サーフブンガクカマクラ」と「未だ見ぬ明日に」はまだ聴いてないので楽しみです!イェイイェイ。
10月17日 P-MODELについて

自分の中でのアジカンブームが終わりかけています。その後に自分の中でブームが来そうなアーティストがこのP-MODELです。
「potpourri」、「いまわし電話」
今日(10月17日)はP-MODELの「potpourri」を聴きました。
僕はだいたい聴く音楽と言えばロックなので、P-MODEL初期のロックバンド時代のアルバムは好きです。特に好きなのはピコピコしたシンセが動き回る一枚目の「IN A MODEL ROOM」ですが、彼らが「脱・テクノ宣言」を行ったというアルバム「potpourri」も気になったので聴きました。
簡潔に言うと、「かなり好きだけど居心地が悪いから疲れる」という感じです笑。
XTCなど、テンションが異常に高いニューウェーブは大好物なのでもちろんこの「potpourri」は好きです。だけど、XTCがユーモラスで素っ頓狂なテンションで怒りを歌う竹中直人的(?)な音楽性なのに対し、「potpourri」はとても閉塞的で、のたうち回りながら叫んでいるような音楽性なので、聴いたときに得られる興奮は別物ですね。
さあ、「竹中直人的」という言葉使いたかっただけの長い文章を越してくれたみなさんに感謝を述べます。ありがとうございます。
この「potpourri」の好きなところ、それはこの上なく奇妙なロックなのに、なぜか踊れるリズムがあるところです。すごく気味が悪くて非メロディアスなのに、なぜか中毒性があるのは、前につんのめる軽い感触のドラムと高音域のノブを0に設定したようなこもった音のベースの相性が抜群だからでしょう。
たとえば「いまわし電話」。忙しいドラムと4分音符で刻むベースがやはり相性抜群。そこに乗るのは右に振られたチープなオルガンと左のクリーントーンギター、そして一瞬裏声になったり囁き気味になったりするハイテンション極まりない平沢のボーカル。自分が求めるニューウェーブ像がこの曲に詰まっているかもしれません。
10月24日 syrup16gについて

P-MODELを集中的に聴く期間が終わったあとに待っていたのは、「ほぼsyrup16gしか聴くべき音楽が分からない期間」でした。本当に、syrup16g以外に何を聴けばいいのか分かりません。だからsyrup16gばかり聴いています。
2年前くらいからかなり聴いていて、自分の体にも相当馴染んでいるバンドではあるのですが、まだ飽きないですね。むしろ、前聴いて印象に残らなかった曲が今になって輝いて聞こえる。
「サイケデリック後遺症」
いつもは「COPY」、「coup d'Etat」、「HELL-SEE」の収録曲を中心に曲を聴いているのですが、ここ数日リピートしているのは「delayed」収録の「サイケデリック後遺症」、そして「delaydead」収録の「これで終わり」、「明日を落としても」です。
「明日を落としても」は昔から印象には残っていて、弾き語りをすることもたまにありましたが、すごく気に入ったのはここ数日。あと2つは完全に忘れてて、「Spotifyの再生回数が多いから聴き返すか~」と思って聴いたらスパーンと心に来てしまいました。
今回は「サイケデリック後遺症」について。上述の通り、数日前までは歌詞もメロディもほぼ覚えていなかったんですが、ふら~っと聴いたらめちゃくちゃ食らいました。なんですかこの凄まじく美しい曲は。
まず曲。五十嵐隆はキャッチーでありつつ美しいメロディを書く天才ですが、この曲のメロは割と「美」寄りですね。1番と2番で歌詞同じなのにメロが結構違うとか、少し複雑な展開をみせます。それでも徹底してキャッチーで耳なじみがいいのは本当にすごい。それとこの人、自分の声の特長を理解してそれを活かすような曲を作りますよね。憎たらしい!!
曲の展開は、AメロとBメロはメジャー調で優しく穏やかなのに、サビで急にマイナー調になりコーラスがズシンと重く来るというもの。J-POP的な考え方ならサビで突き抜けるのが定石なのに、ここまで暗い低音コーラスが来たら強烈に感じますよね。ただ、「印象に残るサビになっている」という観点で見れば意外と遠くないのかも?あと、ライブテイクでの中畑のコーラスも味わい深いですよ。
そして歌詞。正直、面と向かって考察するのは今日が初めてです笑。僕がsyrup16gを聴いてるときって大体は「この人の声カッコいいな~綺麗なメロディだな~」くらいしか考えてないので....
夢をみせて 土曜日の午後に
舞い降りた天使は 途方に暮れた様に
<中略>
子供に還る 君が微笑む
君が欲しいとせがむ
あの日飾った 特別な虹を
サイケデリックな後遺症と 呼ぶのでしょう
この曲、僕は普通に失恋の歌だと思っています。「土曜日の午後に舞い降りた天使」との甘い生活の中で、主人公が「子供に還る」ように甘えたり、「君」(天使?)がそれを受けて微笑んだりして、主人公が「君が欲しい」とせがむ。
しかし、のちに分かれてしまい、「君」との甘い生活が忘れられずに「後遺症」となって現在に支障をきたしている。
サビの別れを思わせる歌詞のところでマイナー調になるのは、悲痛な雰囲気を感じさせる効果として非常に素晴らしい。過剰に悲しくないし。
まとめ
ここまで読んでくださったみなさん、ありがとうございます。冒頭で「#2はないと思う」とぬかしましたが、普通にやるかもしれません。ここまでマイブームがころころ変わると、その都度備忘録を書いて、後で見直した時に面白いと思うので。ではまた、別の記事かXで会ってください。それでは!!
僕が感じる「好きな平成感」の正体
どうも、こだまです。iPhone14が凄く安く使えるプランがあるらしいんですけど、それくらい型落ちしてるってことなんでしょうか?家電事情を全く知らないので分かりません。ずっとAndroidだし。
本題に移ります。みなさんはどのような音楽に「平成感」を感じますか?雑誌やレコード屋が全然元気だったサブカル全盛期の90年代の音楽に「平成感」を感じる人もいるだろうし、ダウンロードが主流になった00年代中盤らへんの音楽に「平成感」を感じる人も多いかもしれません。
もちろん、そのどちらの年代にも「平成感」は感じるんですが、僕が最も好きな「平成感」を感じる年代は2000年代後半から2010年代前半なんです。
なぜ僕は他の年代よりもそこの方が思い入れが強いのか、そして00年代後半~10年代前半のどの音楽が好きなのか。それをこれから考えていきます。
- そもそもなぜ「平成感」?
- 「平成感」の正体は「画質」
- 「平成感」はミュージシャンによってそれぞれ違う
- Perfumeに感じる「平成感」
- マキシマム ザ ホルモンに感じる「平成感」
- 神聖かまってちゃんに感じる「平成感」
- まとめ
そもそもなぜ「平成感」?
そもそも僕はなぜそれを「平成感」と呼ぶのだろうか。平成なんて31年もあったのに、なぜその間の9年間を指して「平成感」と呼ぶのがしっくりくるのだろうか。
ずっと考えていたが、ようやく思い出した。昔YouTubeで観た、「ホンマでっか!?TV」の切り抜き動画だ。おそらく2014年ぐらいの放送回なのだが、コメント欄で「なんだろうこの平成感」というのがあり、「あ、本当だ。その表現凄くしっくりくるな」と思ったのがきっかけだ。本当にそれだけなのだが、そのコメントが一つのブログを書かせるまで至ったのだ。
「平成感」の正体は「画質」
僕が感じる「平成感」の正体は「画質」である。ぐるぐると考えまわっている先に見つけたのはこれだった。比率が4:3から16:9に移り変わる真っ只中の時代。この時代に撮られたMVやテレビ、宣材写真、アルバムジャケットその他もろもろが、僕の目にはとても魅力的に映る。
これから紹介するPerfume、神聖かまってちゃん、マキシマム ザ ホルモンなどから感じる「平成感」というものは、その曲のMVやライブ映像の「画質」なのである。
じゃあ、音だけを聴いても「平成感」は感じるの?
みんな思うだろう。「じゃあ、音だけを聴いても平成感は感じるの?」「平成感の正体が画質なんだったら、音だけで聴いたときにはその平成感は感じないはずじゃん」と。いや、僕は音だけで聴いても「平成感」は感じる。これに関してはずっと考えていたのだが、結論は自分が「一度映像と一緒に曲を聴くと、その後音だけで曲を聴いたときもその映像が頭の中で浮かんでくるタイプ」だから、ということがわかった。許してほしい。
裏を返せば、僕が感じていた「平成感」は本当に「画質」のみだった、ということだ。サウンド面での特徴はつかめなかった。情けない...
「平成感」はミュージシャンによってそれぞれ違う
とは言っても、Perfume、神聖かまってちゃん、マキシマム ザ ホルモンなどに感じる「平成感」が、すべて同じというわけではない。そこの違いを、これから解析していく。
Perfumeに感じる「平成感」

僕がPerfumeに平成感を感じるのはこの時期(左が「GAME」、右が「⊿」。それぞれ2008年と2009年に発表)。そして、Perfumeの平成感は、「出演していたテレビの画質」である。


上の画像の通り、映像の比率が4:3と16:9、どっちもあったのがPerfumeがブレイクした2007年前後なのだ。この感じも好き。
あと、メンバーの顔つきとかでも「平成感」は感じるのだが、当時業界内で流行していた化粧とかは全く分からないのでそこは掘り下げないでおく。
マキシマム ザ ホルモンに感じる「平成感」

(この2つのアルバムの間6年空いてるけど...)
マキシマム ザ ホルモンに感じる「平成感」は、彼らが発売したDVDに収録されている「バンドマンとの戯れの様子が記録された映像のホームビデオのような画質」、そして「え・い・り・あ・んMVにおける光の当たり方」である。

まず前者。これは「Deco Vs Deco」に収録されている、バンドマンとか身内と戯れている映像が、家庭用ビデオカメラみたいな画質だということだ。これに非常に惹かれる。Perfumeが2007年時点での最先端を象徴しているなら、ホルモンは非常にローテクな2007年を象徴している。この対比が面白い。

そして後者。これは前者ほど惹かれる理由が明確には分かっていないのだが、おそらく僕が小学生の頃に観ていた日曜朝の「JAPAN COUNTDOWN」で紹介されていたロキノン系バンドたちのMVの光の当たり方と似ているからなのかな?と思う。その「ロキノン系バンドたち」が明確に誰なのかは分からないが。
神聖かまってちゃんに感じる「平成感」

神聖かまってちゃんに感じる「平成感」は、ホルモンのDVDよりもさらに低画質な、「自主制作感」があふれたMV、そしてニコニコ生配信アーカイブの鈍い動きである。

まず前者。おそらくそういう加工をあえてしているのだが、めちゃくちゃ低画質なMVを、ヴォーカル・の子とその父親が完全自主制作で作っているのだ。それが当時のニコニコ動画などのオタクカルチャーとすごくマッチしている。「あえて低画質にする」MVの中ではトップクラスにあざとさがないと思う(僕は映像をあえてローファイにするのは相当の才能がないとあざとくなってしまうと考えている)。
そして後者。当時はまだ回線が今よりもずっと弱くて、動きが全然滑らかじゃない。おまけに音声もかなり悪い。けど、その感じがまたバンドのキャラに合っている。
まとめ
今回は僕の中の「平成感」を解き明かす記事でした。サウンド面での特徴でそう感じていたわけではなく、単に画質で「平成感」を感じていたと気づいたときは結構ショックでしたが、開き直って各グループごとの画質の違いを検証してみたら一つの記事が書けました。ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。それでは!
1980年の好きなアルバムとそのレビューをフォロワーさんから募った
どうも、タテガミELECTRIC akaこだまです。夏になって汗をかくようになったので痩せるかなー?って思ったけど、その分、水を多く飲むので逆にむくんでしまいました。
本題に移ります。今回の記事はその名も「1980年の好きなアルバムとそのレビューをフォロワーさんから募った」!清々しいくらい直球のタイトルです。
まず、この企画の説明から。タイトル通り、1980年に発表されたアルバムの中から好きなものをXのフォロワーさんから募って、さらにそのアルバムのレビューを書いてもらう、というものです。全部で9枚ありますが、僕はその中で1枚しか書いてません。他の8枚は全部フォロワーさんが書いたものとなっています。
- 1980年の音楽シーン
- こだまが選ぶ1980年のアルバム1枚
- 熊猫(@pandainthemusic)が選ぶ1980年のアルバム3枚
- ヒッキーP(@hikkiepiii)が選ぶ1980年のアルバム1枚
- 蕨餅(@wbe1616)が選ぶ1980年のアルバム1枚
- 独身ボクシング(@notitre)が選ぶ1980年のアルバム1枚
- チョボの(@chobo6six)が選ぶ1980年のアルバム2枚
- おわりにこだまから
1980年の音楽シーン
※ここは飛ばしてもいいです
1980年の音楽シーンにおいて、最も存在感があったのはやはりニューウェーブとポストパンクだろう。70年代後半に巻き起こったパンクロックムーヴメントに影響を受け、そこからさらに音楽性を押し進めていったミュージシャンたちを指すのがこの2つのジャンルであり、この時代に生まれたアルバムたちは今もなお輝いている。
ただ、「ニューウェーブとポストパンク」と単純に言っても、音楽性はすごくバラけていて、そこを無理やりまとめようとしたときにできた言葉がその2つだと思う。例えば、Talking Headsはアフロビート、The Clashはレゲエなど、ワールドミュージックの要素を取り込んで音楽性を広げていったバンドもいるし、Bauhaus、Siouxsie And The Banshees、The Cureなどの「ゴシックロック」のバンドたちが名盤と呼ばれるアルバムをリリースし始めたのもこのあたりだし、Ultravox、Japanなどの「ニューロマンティック」のバンドも隆盛を極めていた。日本ではP-MODEL、ヒカシュー、Plasticsの「テクノ御三家」が人気を博したり、ニューヨークの「ノーウェーブ」の動きを現地で体感した「レック」率いるフリクションもいた。個人的には80年代の中でもかなりたくさんのロックが充実している年のイメージで、結構面白いと感じる。
(上の文章は僕が独自で考えたものなので、間違っているところがあればぜひ教えていただきたいです)
それでは、ここからはいよいよ僕とフォロワーさんによるアルバムのレビューです。
こだまが選ぶ1980年のアルバム1枚
XTC "Black Sea"

イギリスのニューウェーブバンド・XTCの4枚目のアルバム。前作"Drums And Wires"で覚醒したひねくれポップ路線をさらに押し進め、ギターはよりソリッドに、リズム隊はより強力なグルーヴを生み出すようになった。ポップなメロディーとソリッドなサウンドが交差するのがとにかく好きで、僕はニューウェーブ最高傑作の一つだと思っている。
短いピアノの弾き語りから威勢よく鳴るギターが高揚感をもたらすM1"Respectable Street"から強烈で、比類なきハイテンションなサウンドには否が応でも体がノってしまうだろう。
その後もベースのコリン作の最高の「ポップ・戦争・ソング」M2"Generals And Majors"、今作で最もテンションが高いM3"Living Through Another Cuba"、ツインギターがクールなこちらも戦争ソングのM10"Sgt. Rock (Is Going To Help Me)"など、高い演奏技術に裏打ちされたダンサブルなロックナンバーたちが並ぶ(いずれも、歌詞は至ってポリティカルでシリアスなのだが)。
そして、そうやって踊り狂った先に待っているのは最終曲"Travels In Nihilon"である。終始不気味な雰囲気のこの曲の最後の歌詞は以下の通り。
何も学ぼうとしないまま
日々何とかやってきた
契約のみ光は
ひとすじの光明より早く
焼き尽くされたのだ
アルバムの最後に待っているメッセージとしてはかなり重いが、「君はもう一回このアルバムを最初から聴くのか?それとも、このまま『何も学ぼうとしないまま日々何とかやっていく』のか?」とでも言われているかのような気分に陥る。
熊猫(@pandainthemusic)が選ぶ1980年のアルバム3枚
The Residents "Commercial Album"

レジテンツの人気作にしてコマーシャルの音楽を風刺した1分ちょっとの曲が40曲のとんでもない構成のアルバム。かなり暗くてこの世の音楽じゃないような雰囲気が聴いててワクワクしてきます。最初のEaster Womanでがっつり好みが分かれると思います。ダークアンビエントとかの先駆けでコンセプト的にもヴェイパーウェイヴの思想の元祖はこれなのではないかと思いつつあります。レジテンツは全部初めは大困惑するような音楽性ですが、聴いてると段々耳がレジテンツ耳になってくるので面白いです。また、アルバムのコンセプトがサブスクの収入システムの皮肉にもなってて面白い風刺センスだな〜と思いました。
たまにはこういう奇妙なシンセ音楽も良いですよ!
The Pop Group "For How Much Longer Do We Tolerate Mass Murder?"

有名な1stアルバムからより凶暴でダウナーな怖さを増した、超凶暴アルバム。前作に加えて色々な危ないジャンルを放り込んでテンションMAXで大暴れしています。トーキングヘッズが隠せなかったクールさをぶち壊すぐらいのハイテンション。野獣死すべしの松田優作みたいなアルバムです。普通に前衛具合に打ちのめされたと同時に演奏のカッコよさに惹かれました。最後のRob a BankはLCDサウンドシステムが好きな人にはおすすめかもしれません。ハチャメチャな中にもビートがシンプルにカッコいいんですよね〜。もっとこういう個性爆発ドカドカうるさいポストパンクバンド最高です。前行ったレコード屋さんの段ボールにYのジャケみたいに蛍光ペンでThe Pop Groupってなぐり書きされてるのを見てからこのバンドにずっと惹かれてばっかりです。
Sun Ra "Strange Celestial Road"

ジャズ界最大の鬼才サン・ラのジャズフュージョン期の後半のアルバム。この宇宙のジャケが強烈でそれだけでも世界観がすごいなあと思いました。フリージャズの要素が後退して最新のフュージョンと当時から数十年前のビックバンド要素が重なる感じが面白いです。あと完全にエレクトロニカなところもあって本当にクリエイティブさに満ち溢れまくったアーティストだなあと思います。あとベースとドラムのリズム隊の演奏がものすごくファンキーでクールなんです!ヒップホップ後の今のジャズ界でもがっつり通用する大人のカッコよさが詰まっていてカッコいいです。3曲目はジャズすら超えた何かすら感じます。神秘の極みみたいな怖さもあるような感じ。それでもかなり聴きやすいので興味がある方はぜひ聴いてみてほしいです。
ヒッキーP(@hikkiepiii)が選ぶ1980年のアルバム1枚
友川かずき "桜の国の散る中を"

極北のオリジナル民謡のような楽曲を、秋田訛りで絶叫弾き語りしていく日本のカルト・フォークシンガーが最も高いカルト性を持っていた時期の5thアルバム。尺八、太鼓など日本の祭りのお囃子のようなバンドサウンドで、恐いほど情念的な唄を吐き出していくことで全体を支配する空気感はあまりにも異質。独特の緊張感は北国の寒さを連想させる。
しかし、独特の声質や歌唱法、更にそれに加えてハードな方言により、幼い頃の私が最初におぼえたのは「うまく受け入れられない異物感」だった。友川かずきの理性が壊れたかのようなその唄と対面した時には、一体彼が怒っているのか泣いているのか、それとも笑っているのか、俄かには判別できないほどに既知から外れた体験があった。
言葉の想像を絶する感情のニュアンスが、声の弾丸の数々には込められている。ラストナンバー、M-9「桜の国の散る中を」は幼くして亡くなった彼の友人のご子息・会田哲士さんを思って作られた曲で、10分を超える楽曲の後半、彼はずっと悲痛に発狂し続ける。まるで遠い遠い彼岸へ辿り着くためかのごとく、彼は永く永く闘い続ける。彼の世界観の中では、永遠に続くかのような地獄の苦しみを表しきってやっとスタートラインに立てるのかもしれない。
何を以って弔いになるのかは人間には分かりえない。でも、生きている人間にとって死の想像は極限だ。そこから目を逸らさずに注視し続けた、究極の時間が訪れる1枚。
蕨餅(@wbe1616)が選ぶ1980年のアルバム1枚
Joy Division "Closer"

ポストパンクのオリジネーターでお馴染みJoy Divisionのセカンドアルバムにしてラストアルバム。リリース前にフロントマンのイアンカーティスが自殺したように、作品全体から死や虚無のムードがただよっている。
死を感じる作品は言うまでもなくたくさんあり、色々な死の形があると思うが、この作品から個人的に感じるのはそういうものに対しての無感情な対峙である。そこに虚無がある、それだけ。悲しみも恐怖もなく、無しか感じていない。
僕がこのアルバムに一番魅力に感じているのはドラムである。淡々と冷たくビートを刻み続けている。重苦しくない、むしろ薄っぺらさを感じる音色なのに暗闇の中に引き込んできている。(This Is the way, step inside...) そしてその上にイアンカーティスの、誰よりも死に近いのにそれをどうでもよさそうにしている歌、(歌詞は暗い) ギターやベース、時々出てくるシンセもピアノも、彩度を失っている。
せっかくなので特に好きな曲を2曲ほど書く。 2曲目 Isolation ニューウェーブ的なシンセの音が終始鳴り続けているが、上述のように色がない。あと人が演奏しているように感じない。そんなことはない?この虚無の空間から不自然に鳴り始めたようなイメージを感じる。ドラムの音色も合わせて埋められない空洞を見せられている気分になる。
7曲目 Twenty Four Hours 奇妙なベースラインで始まり、ある程度曲全体通して抑揚はあるが、やはり感情の起伏はない。盛り上がっている時のギターは音色どこかシューゲイザーも感じる。プロトシューゲイザー的なものとして再解釈できるかもしれない。とはいっても空間を覆うようなことはしていないが。初めてこのアルバムを聴いた時、まだポストパンクがなんなのか、どういう人たちがやってるバンドなのかも分からないながらここから終わりへの3曲に只ならぬエネルギーを感じ、ブチ上がっていた記憶がある。
独身ボクシング(@notitre)が選ぶ1980年のアルバム1枚
ジューシィ・フルーツ "Drink!"

女性ボーカルに変な言葉(?)を歌わせるバンドと言われると大体ヤプーズとかピチカート・ファイヴとか理論とかミドリだとか色々あると思うけど私が何よりも好きなのはジューシィ・フルーツである。
「Drink!」は「ジェニーはご機嫌ななめ」というバンドの代表曲を含めた最初から最後まで勢いがありポップでエバーグリーンな作品だ。
"楽しく騒げばいいじゃない夏の夜は〜"と歌い上げてしまう一曲目に相応しい、何もかも吹き飛ばしてしまうような勢いがあるあやふやアバンチュールから始まり、怒涛のようにひたすらポップな曲が押し寄せてくる。中でも女性ボーカルになんか変なセリフを言わせる「恋はベンチシート」は訳もわからないまま曲の中に引き込まれてしまう力を持っている。6曲目「恋愛タクティス」は有無を言わせないポップソングというのか、ジューシィ・フルーツにしてはベーシックなアプローチの曲になっており聴く人間を選ばない曲になってると思う。"ねえねえいいでしょお願い"と繰り返されるフレーズがとてもキュートでポップ。続いて8曲目「雨のヒロイン」、これがニュー・ウェイヴと歌謡曲の迎合か!?伸びやかに歌うメインボーカルと男性陣のコーラスが心地よい。そして10曲目にジェニーはご機嫌ななめが来るわけだが、こんなにも斬新でそれでいてポップな曲を他に知らない。
「Drink!」はニュー・ウェイヴ的な流れとか関係無しにとにかく新しくてキュートでキャッチーでポップなサウンドに無条件に心を掴まれる稀有なアルバムでずっと大切なアルバム。
チョボの(@chobo6six)が選ぶ1980年のアルバム2枚
Colin Newman "A-Z"

チョボ六(南方熊楠の飼い猫オマージュ)です。なんか最近語呂が嫌で6を倒して「の」にしてチヨボのと名乗ってます。
今回扱うのはCOLIN NEWMANのソロ処女作『A-Z』(安定のベガーズリリース)です。
COLIN NEWMANという男について紹介する前に、彼がソロ転向前にフロントマンを務めていたWireというバンドを紹介します。
信憑性の低い噂として 「ロックじゃなければ何でもいい」 なんて有名なフレーズを残したバンドです。
*一応似たようなセリフをEASTWOOD GUITARのインタビューで口にしてます。彼自身世界有数のAirline使いなので。
"Wire really never were a punk band... we happened to be there at the same time. You could list the Ramones as one of our influences, but we were never interested in just doing that genre."
対訳: 「ワイヤーは決してパンク・バンドではなかった。ラモーンズを影響されたバンドのひとつに挙げることはできるけど、そのジャンルだけに興味があったわけじゃないんだ」 Not A Punk Band: Interview with Wire's Colin Newman – Eastwood Guitars
~~~~~
閑話休題。
まぁ、知る人ぞ知るバンドなので今更説明は不要かもしれませんが。。
ニューヨークからイギリスに伝来したパンクをいち早く体現しただけでなく上記のような心意気を以て守破離の離に到達したポストパンクバンドです。んで三枚リリースして解散。お決まりの音楽性の違いとかレーベルとの対立ってやつですね。(今はメンバー変えて再結成してます。)
彼らは目新しいサウンドに目がない当時のアート系の人たちに高く評価されたわけです。それも次世代のニューウェイヴやゴスロックを担うような人らだけでなく、大西洋を挟んで海の向こうのポストパンクキッズ、延いてはハードコアキッズにも刺さったという稀有な例です。こういった影響がオルタナの萌芽になってたと思うと感慨深いです。つかアメリカからすると逆輸入になるわけですね。
はい。
Wireはの話はこのくらいにして『A-Z』ですが、読み方は無難にAtoZで、実はWireの幻のアルバムだったりします。企画だけ立ち上がったもののレーベルと揉めて解散したので、バンドとしての曲は収録されてないですが、クレジットに元メンバーがいます。
アプローチとしてはWireの2ndと3rdを想起させますが、全体的にキャッチ―なフレーズが多いかな、と思います。
ミニマルなアプローチはイーノから色濃く影響されてるのかな、と思います。6年前にThe Quietusの企画で彼自身、Discreet Musicをお気に入りの13枚の中に入れてますし。同年に1stを発表したYoung Marble Giantsがイーノチルドレンだったように彼もまたイーノキッズだったわけです。
因みにこの作品に収録のM8「S-S-S-Star Eyes」はP-modelにもカバーされたっぽいですね。
あと一応アルバムレビューなので、この作品で一番好きなナンバー挙げるとするとM2「&Jury」なんですが、一曲通してハイハットクローズの16ビートが鳴ってます。個人的なツボです。兎に角ノれます。ロック調であんまシンセ主体ではないのも好感触。
8ビート基調のポストパンクは多くあるけども案外少ないのがこの16ビートだと思ってます。まぁ機械的に16ビート叩くのって結構難易度高いので仕方ないですが。Steven Morrisの十八番になっちゃってる感が否めず、知名度的にも独占禁止法に抵触してるから訴えたいです(笑
というか今作ぶっ通しでドラム叩いてる元WireのRobert、変則的で面白いフレーズとかも含めて、もっと名前が知られても良いドラマーだと思います。なんかドラマー界隈って結構ジャズとかプログレ系を持ち上げて懐古厨な側面があると思ってるので、この手の目から鱗なフレーズ叩くドラマーにも焦点当ててほしいですね。Gary Youngとかも、、
最後に今作のプロデューサ兼シンセ担当、Mike Thorneにも触れておきます。もともとプロデュース業で60年代から大御所とコラボしており、彼の携わった作品群の紹介は割愛しますが、Wireの初期3部作も彼のプロデュースになります。まぁそりゃWireの音像に近いわな~
Swell Maps "....In "Jane From Occupied Europe"

チヨボのです。 なんか家に2枚持ってるSWELL MAPSのセカンド「Jane From Occupied Europe」です。サブスクにはありません。ようつべにもありません。昔持ってなかった頃にネットで聴こうと思ったけれど、当時はありませんでした。今も聴くには買うしかないと思います。
一応SWELL MAPSの素性を知らない方向けにバンドの紹介をすると、72年結成のUKポストパンクバンドです。鋭い方はお気づきかもしれませんがプロトパンクに分類されたりします。あと中心メンバーのEpic SoundtracksとNikki Suddenは兄弟です。
パンクの輸入とブームに乗ってパンクに迎合したようなサウンドになってますが、もともとあった何か(?)原型にパンクを取り入れたみたいな見方が実際のアプロ―チに近いと思います。解散後に有名になってるので、いかにも前衛志向なバンドです。USオルタナ勢に結構影響力のあるバンドです。
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アルバムについてですが、1stがパンク寄りだったのに対して実験みが増した内容になってます。メンバーのクレジット見ると訳わかんないぐらいの数の楽器をメンバー数人で担当してます。カズ―とか楽しそう。
巷での認識がどうかは知りませんが、SWELL MAPSはLo-Fiだとかクラウトロック的アプローチって意味で他のポストパンク/アートパンク勢と似て非なる音像を体現していると思います。
半永久的に続くんじゃないかというモータリックなビートにひたすらギターのノイズを重ねる手法は、馬鹿正直な感じがやっぱりアマチュア的アプローチでスカムに通ずると思います。ただただ好きな音を重ねてる感じがDIYやってるなぁ~とほっこりするし、あんま帯域とか気にしてないのは聴けば分かります。そんなに暴力的でもないけれど、煩雑とした音の塊が押し寄せてきます。
以下、一曲ずつ見ていきます。
M1「Robot Factory」インスト・インプロ・インダストリアルの三拍子。不穏な響きのシンセと即興ドラム。アルバムの幕開けに相応しい説得力のあるスローテンポナンバーなんですけど、聴いててなんとなく今後の展開が気になってきます。冗長ではない。
M2「Let's Buy a Bridge」ぶっちゃけこのアルバムにしては普通のパンクです。The UndertonesとかThe Soft Boys, Buzzcocksって言われても多分わからない。すげーJohn Peelが好きそう。
M3「Border Country」感想はM2に同じです。
M4「Cake Shop」「Cake Shop Girl」なんか輸入盤と国内盤で曲名違いました(笑)まぁリリース元も変わってたんでリマスターの時に曲名いじったんだと思われます。ちょっとMagazineぽさあるかな。
M5「The Helicopter Spices」一番好きな曲です。彼らの真骨頂というか、一番モータリックなビートやってて、NUI!聞いてるときみたいな音の重なり・連なりが聴けます。パンクだ。
M6「Big Maz in the Desert」十中八九、Pavementの「In the Mouth a Desert」の元ネタ。ノーウェイヴ的音像。この曲にメロディーという概念は登場しません。邦ロックやディスコ音楽にありきたりなバスドラ4つ打ちビートを採用してるのですが、ただただ曲の屋台骨として散逸なサウンドをまとめてるだけで、特にノれるって感じでもないです(笑)
M7「BIg Empty Field」7/4拍子で無限に同じビート叩いてます。はじめ聴いたとき若干気持ち悪かったです。
M8「Mining Village」幕間のインスト。ごりごりインダストリアルです。
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長くなるのでこれ以上は控えます。
個人的には2枚目に関してはドラム担当のEpic Soundtracksのピアノの音色も加わったので、良い意味でSwell Mapsの独自性に繋がっていると思います。解散後に出たEpicのソロ作、ピアノ主体のポップスとして本当に、本当に素晴らしいので是非聞いてみてください。(Ben Folds 以上に美メロ?だと思います、、、
最後に。私は分量増えすぎるきらいがあるので、自分のブログ頑張って稼働させます。。。。ごめんなさい。今回は持ってた CDのブックレット情報とか、海外の音楽記事はなんも載せられておらず、かなり独断と偏見に基づいたレビューでしたが、読んでくださった方はありがとうございました。
おわりにこだまから
はい、こういった感じで9枚が出そろいました!レビューを書いてくださったみなさま、本当にありがとうございます。

僕は1980年のアルバムレビューを今やるのが面白いと思っているので、次はおそらく1981年になるかと思います!協力してくれる人がいる限りこの企画は続くので、みなさま今後ともよろしくお願いいたします!!