向井秀徳が影響を受けたロック

どうも、タテガミELECTRIC akaこだまです。今回は僕が大好きな向井秀徳さんが影響を受けた&お気に入りのロックを紹介します。なぜロックに限定しているかというと、向井さんが影響を公言しているジャズとかヒップホップのことまで書き出すとキリがない、との決断に至ったからです(笑)。

↓参考資料。フジテレビの、影響を受けた曲45曲を選ぶ、「45rpm」で選んだ45曲。


Television

向井秀徳が影響を受けたバンドを問われたときに真っ先に思い浮かぶのはまずこのテレヴィジョン。ナンバーガールのライブでも登場前のSEにテレヴィジョンの代表曲「Marquee Moon」がかかっていた。向井が「ギター2本」という編成に惹かれたのもテレヴィジョンの影響が強く、ギターマガジンのインタビューで「彼らに関しては、もはやロック・バンドというかジャズ・グループのフォーマットだと思ってるから。ソロ・プレイヤーのアルト・サックスとテナー・サックスがギターに置き換わってるような状況ですからね。」と発言したり、同じくギターマガジンでテレヴィジョンのVo,Gtトム・ヴァーレインに関して「エロい。」とだけコメントしたりしている。

 

Pixies

Cover art for Doolittle by Pixies

こちらもインタビューで良く名前が挙がるバンド。ナンバーガールもシングル「透明少女」のB面で「Wave of Mutilation」をカバーしている。ピクシーズドキュメンタリー映画が公開されるときも、向井は自分が影響を受けたということをはっきりと表明するコメントを寄せている。今は消されているブック・オフによるインタビューでも、「どっかねじり曲がってるっていうか、ささくれ立ってるというか。佐賀の田園地帯の一軒家の二階でジドーッとしてる高校生の私には非常にウマが合ったんですね。」と発言している。「実家の2階の一人部屋で、ピクシーズとかソニック・ユースとかジョン・コルトレーンとか聴いてウワーッてやってた」という発言も。フジテレビの45曲影響を受けた曲を選ぶ「45rpm」という企画では「HEAD ON」を選曲。

 

Sonic Youth

Cover art for Dirty by Sonic Youth

ナンバーガールの「ギターロック」成分に多大な影響を与えたノイズ・ロック・バンド。ナンバーガールのノイズ感や不協和音感はソニック・ユースの影響をひしひしと感じる。「ソニック・ユースのコード感を『コールド・コード』と呼んでおります。テレヴィジョンもしかりです。」という発言や、「ドラマチックなところが好き」という発言もある。また、ギターマガジンの吉野寿との対談で「『Goo』は今聴くと、メジャーの色気出しとるなっていう風に感じますね」とも語っている。45rpmでは「SUGAR KANE」を選曲。

 

2002年、ナンバガラストライブ時に名前を挙げたバンドたち

2002年のナンバーガールのラストライブ時に、向井はMCで北海道出身の「尊敬するバンド」を挙げていった。bloodthirsty butcherseastern youthfOULTHA BLUE HERB、Cowpers。今回は特にエピソードが多くある3組のことを書いていく。

まずはbloodthirsty butchers。メンバーとは交流があり、ナンバガの「ABSTRUCT TRUTH」という曲の歌詞にも、ヴォーカルの吉村秀樹の名前が登場する。ブッチャーズの曲「プールサイド」をカバーしたこともある。

続いてeastern youth。こちらも交流があり、テレビ番組で向井とイースタンのメンバー3人で対談したこともある。向井はイースタンを聴いて「腹から声出さないといかんな」と思い、か細かった歌声をがなるように変えたという話がある。45rpmでは「裸足でいかざるを得ない」を選曲。

最後にfOULfOULドキュメンタリー映画が公開されたときに、向井はコメントを添えていて、「掴みたい。藁をも掴もうとして、ドラムセットの高い天井のシンバルを鳴らすのである。そして掴みそびれてカスったその残響がfOULの音だ。」と表現している。45rpmでは"OPPORTUNITY"を選曲。

 

Led Zeppelin

Cover art for Led Zeppelin III by Led Zeppelin

言わずと知れたハード・ロック・バンド。向井はZAZEN BOYSのことを「法被を着たレッド・ツェッペリン」と例えているくらい明確に影響を公言していて、初めてギターでコピーしようとしたのもツェッペリンの「アキレス最後の戦い」だった(実際はコピーできずに挫折し、その後自分の曲を作るようになった)。ZAZEN BOYSが始動した頃のインタビューでも「去年出たDVDでライヴ映像を見て、非常にでかいショックがありまして。もう、どれだけ凄まじいバンドなのかっていうのを再確認しましたね。とにかく音楽的にもすごくオリジナルだし、それぞれの表現がもう半端じゃないと。しかもそれを一つの塊にして出そうとしてるっていうか、プレイヤー同士のせめぎあいではなく一丸となって出すっていうか、その姿には非常に影響されました。」と語っている。アルバムでは3枚目が一番好きとのこと。

 

The Rolling Stones

Cover art for Black and Blue by The Rolling Stones

こちらも超メジャーロックンロールバンド。向井はテレヴィジョンと同じく「ギター2本」の編成に惹かれたバンドとしてストーンズを挙げていて、「Brown Sugar」の掛け合いを「あれがバンドなんですよね」と発言している。一番好きなアルバムは「Black and Blue」で、理由を「ファンキーだから。そして、超ぐっとくる同じようなスタイルのバラードが2曲入っている。1曲にしておけばいいのに2曲も入っているのがいいんですよね。」と語っている。「ストーンズは75年から85年、『Black & Blue』から『Dirty Work』が好きですね」との発言も。45rpmでは「HOT STUFF」を選曲。

 

Prince

Cover art for Parade by Prince and The Revolution

向井は小学生のとき、8歳上の兄に日夜「パレード」のビデオを見せ続けられたという逸話があり、「私はその時小学生で何も理解できませんでした。それでも何度も何度も聴かされるうちに、だんだんこの人は、クラスのみんなが聴いているボーイ・ジョージとかMTVのヒットチャートに入っているほかのアーティストとは違う、本当に特別な存在なんだっていうのをうっすらと認識し始めたんですよね。「パレード」の先行シングルで「KISS」を聴いたときに、もうほかのメインストリームの音楽とがーっと差をつけたんだなって――その時は中1だったんですけれど――思いましたね。」と語っている。また、向井はプリンスを語るときによく「毒個性」という言葉を使う。45rpmでは「SIGN OF THE TIMES」を選曲。

 

その他、影響を受けたロック&お気に入りの曲

ナンバーガールの「SAPPUKEI」と「NUM-HEAVYMETLLIC」のプロデューサーにデイヴ・フリッドマンを起用したのはおなじくデイヴ・フリッドマンがプロデュースしたThe Flaming Lipsの「Clouds Taste Metallic」の音が好きだったからと公言している。

ギターマガジンのインタビューで、Dinosaur Jr.の印象に残っている曲を問われたときには「The Wagon」を挙げていて、「シングルで初めて聴いたときに、ギター・サウンドもさることながら歌の世界に一番惹きつけられました。こんなにグワーって激しく鳴ってるのに、歌はある意味すごく弱々しくて、か細い。あのギャップに惹きつけられましたね。」と語っている。

ナンバーガールの初期は、リチャード・ロイド(元テレヴィジョン)、ロバート・クインなどの名だたるギタリストたちの鋭いギターサウンドをバックにセンチメンタルな歌を歌うMatthew Sweetに共感していた。そのほかにもSuperchunk、Velvet Crush、Lunaなどのバンドが当時好きで、「こういった音にしたい」と思っていた。特にVelvet Crushは、ナンバーガール結成の際に向井がアヒト・イナザワに「Velvet Crushみたいなバンドやらん?」と誘ったほど、初期のサウンドに影響を与えている。

2001年のフジロックNeil Youngが出た際、向井はニールの出番の時具合が悪かったが、1曲目の「Don't Cry No Tears」の演奏が始まったとき、「これは吐いてでも観る!」と決めてNeil Youngの演奏を観たら具合が良くなりさらにビールを飲んだ、というエピソードがある。↓これはNeil Youngの「Hey Hey, My My」を弾いているところ。

https://twitter.com/tomokazkawamura/status/1122066485919141888

Shellacに関しては、「アルバム3枚を連続して聴くと、至福の時間ですよ、至福。やはりオーディオ的な聴き方をしてしまいますね。サウンド・メイキング的にかなりこだわってるし、ドラム、ギターの音が生々しいから。聴いてて楽しいですね」と語ったり、Shellacの魅力を問われた際には、「この世のすべてに憤っている男のサウンドってことですかね。オレ憤ってるんだってギターをガッて鳴らすっていうよりは、この憤りの音をレコーディングしてやるっていう。」と答えている。45rpmでも、ShallacのギターであるSteve Albiniが在籍していたRapemanの「MONOBROW」を選曲している。

ギターマガジンのインタビューで、Rideが好きで特に「Like A Daydream」が好きだと発言している。

ゆらゆら帝国に関して、「緑のやつ(『ゆらゆら帝国のしびれ』)は最高ですよ。すごく踊れるんですよ。すごいダンス、というかビートがある。“夜行性の生き物が三匹”、あれは〈狂乱節〉ですね。あと赤いほう(『ゆらゆら帝国のめまい』)に入ってる“ボタンが一つ”、これも最高ですね」と発言している。

1999年に放送されたテレビ番組で、The PoliceのCDを手にして「70年代後半ぐらいのパンク・バンドとか、結構レゲエとか接近していて、そういったバンド、多いわけですけど...ポップ・グループとか...スリッツとかいますけど。あの感じの、あの匂いが、なんかこう...好きなんですよね。」と発言している。さらに、The Policeからコード感とドラムビートの影響を受けたという発言もある。

ナンバーガールの「Tombo the Electric Bloodred」は、向井が「今日、家のイエスを聴いてきたから」と言ってできた曲だという(田渕ひさ子談)。さらに、「エスは観に行きました。ジョン・アンダーソンの歌声は好きですね、あの突き抜けるような。スティングとも近いですけど、ああいう感じのヴォーカルが好きなんですよね」という発言もある。

Captain Beefheartは、「Trout Mask Replica」に関して「〈鯉男〉って呼んでるんですけど、これもよう聴いとるなあ、高校んときぐらいから。必ず〈ロック名盤選〉とかに載ってるから買ったんですけど、高校んときはわからなかったですよ。〈なんだコレは!?〉と、ずっと思ってる。でも、ずっと聴いていくうちに、おもしろみがね、変わっていくわけですよ」と発言したり、ZAZEN BOYSの4枚目にインスパイアを与えた盤の一つとして「Doc At The Rader Station」を挙げて「常に聴いている一枚」と発言している。

また、「SCHOOL GIRL DISTORTIONAL ADDICT」のライナーノーツには「彼の口から出るバンドの名前は幅広く、」と書かれた後にテレヴィジョンやピクシーズなどと並んで。「ラッシュ」と「PJハーヴェイ」が書かれている。この「ラッシュ」はカタカナで書いてあるので、RushなのかLushなのかは不明である。

「MANGA SICK」のレコーディングの際に、仮のトラックの仕上がりに不満があった向井は、プロデューサーのデイヴ・フリッドマンに「Gang of Fourみたいな感じにならんですかね」と頼んだことがある。

「NUM-HEAVYMETALLIC」は、Dry & HeavyAugustus Pabloの哀感をかっこいいなと思ったのがきっかけでダブの影響が濃くなった。

 

参考資料:

tower.jp

tower.jp

otn.fujitv.co.jp

e-vol.co.jp

getnavi.jp

CDのライナーノーツ、NHK-FMサウンドクリエイターズファイル」、ギターマガジン

 

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。向井秀徳というマジで好きなミュージシャンだからこういうことできるのであって、「影響を受けたミュージシャンシリーズ」みたいに展開する予定はありません(笑)。